相続争いの7割は、嫁さんや婿さんが火をつける?

土地と税金のフシギな話2 相続争いの7割は、嫁さんや婿さんが火をつける?

ある日、緊急コールが入りました。

「大変です。兄と姉の遺産争いがあまりにひどくて、税理士さんから見放されそうです。助けてください!!」

電話の依頼人は尾張の地主さんの次女にあたる方。私は長年にわたり、地主さんの確定申告書類を税理士へ渡すお手伝いをしていましたが、数年前に父上が亡くなり、病気がちだった母上は先日87歳で大往生。3人の兄妹が遺産相続することになったため、相続に実績のある税理士をご紹介したのです。

税金対策は万全でしたし、兄妹仲も良好でしたから、相続は法律の基準に従って、円満に済むはずでした。

しかしその後、具体的な金額の話になったとたん「ウチの取り分が少なすぎる」と長男の妻が激しく抗議。これに長女の夫が反発し、泥沼の争いに発展したとのこと。でも本来、相続人の配偶者には相続権がありません。つまり部外者なのですが、現実には嫁さんや婿さんからの口出しで、トラブルに発展するケースがとても多いのです。

この場合も、長男の妻が毎日のように税理士事務所へ電話をかけて、権利を主張し続けたので、とうとう税理士も手を引きたいと言い出したわけです。

さあ、困りました。ここまでくるとおそらく通常の説得は不可能でしょう。でも困っている次女の依頼を断るわけにはいきません。考えた末、私はファイナンシャルプランナーとしての立場から、ご長男宅へ電話を入れました。

「相続手続きは途中ですが、これ以上もめると税理士は仕事ができず、降板せざるを得ません。これまでかかった費用はそちらの負担になりますから、およそ100万円の損失が出ますよ」

金額を少し多めに見積もり、あえて事務的に話してみたところ、激しかった主張がピタリと収まったのです。

お嫁さんの「1円も損をしたくない」という強い思いが争族の原因だったのですが、同じ思いが今度は逆に働いて冷静になってくれたようです。

相続で一番トラブルが起きやすいのは、ご両親がふたりとも亡くなり、相続人が子どもだけになった場合。いわゆる2次相続時です。親がいるときにはとても仲が良かった兄弟姉妹でも、安心はできません。

つらい「争族」(相続)を防止する決め手は、相続が発生する前から、顔を合わせて話をしておくこと。とにかくこれが一番です。またその場には、互いの配偶者も参加するように心がければ万全です。