日比生寛史建築計画研究所『W1120路地の家』

日比生寛史建築計画研究所『W1120路地の家』

今回の建築作品インタビューでは、日比生寛史建築計画研究所の日比生寛史さんが手がけた作品『W1120路地の家』をご紹介します。

『W1120路地の家』は、わずか18坪の狭小敷地に建つ家族3人のための超ローコスト住宅。
北側の幅員4mの位置指定道路を除き、周囲を家々に囲まれた都心部ではよく見られる厳しい環境の中で、陽光を採り入れることから全てのストーリーが始まりました。
養分を隅々まで届ける役割を持つ葉脈のイメージから、家中に陽光をもたらすために壁をカーブさせ、白く光沢ある塗装で仕上げている。カーブした壁の効果は同時に、家の中に見え隠れする場を生み出し、内部でありながら外部のような、路地裏に身を置く体験をさせてくれます。
また、色彩にまつわる三つのサプライズでドラマ性を演出。道路側の外壁は窓ひとつなく真っ黒に仕上げ、内部に入った途端に真っ白な世界が広がります。さらに内部は青と赤の原色に彩られ、劇場的な住まいが実現されることになりました。

W1120路地の家01

1.施主さんとの出会い

Q.施主さんはどのような経路で問い合わせて来られましたか?

雑誌やテレビを見て問合せくださいました。

Q.施主さんの問い合わせの動機はどのようなものでしたか?

ハウスメーカーや設計事務所を何社も訪れ、狭小敷地と少ない予算の関係で、どこも全く同じプランを提示され、嫌気がさしていたところにテレビを見て、相談に来てくださいました。

Q.施主さんは初期問い合わせ時にどのくらいの情報量(知識)をお持ちでしたか?

他の建築事務所も回って情報収集していた状態でした。

Q.最終的な決め手は何でしたか?

どこに相談しても同じプランなので、助けて下さいという特命でお願いされました。「小さな敷地と少ない予算でも、生活の豊かさは実現できます」という一言が決めた理由だそうです。

W1120路地の家02

2.契約に至るまで

Q.契約までに要した打合せ回数は大凡合計何回になりますか?

最初のプレゼンで、「まさにこのような住宅を求めていました」と一回で決まりました。

Q.初回の打合せでどのような要望がありましたか?

狭小敷地と少ない予算のために「すべてお任せします」ということが、結果的に望みどおりの住宅になったようです。

Q.図面などの具体的な提案は何回ほど行いましたか?

1回です。

Q.この物件の設計監理契約に至るまで特に苦労したポイントはどこですか?

全く苦労もなく、クライアントが望むことと私が創りたい建築とが一致しました。

Q.施主さんがこの物件の設計で一番重要視したこだわりはどこですか?

自分達家族らしい個性的な暮らし方がしたいということでした。

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3.実施設計から工事まで

Q.見積もりは何回ほど提出しましたか? また、複数の工務店から相見積もりを取りましたか?

少ない予算だったため「私の付き合いがある工務店に任せて下さい」とお伝えし、1回だけご提案しました。相見積もりはとりませんでした。

Q.キッチン、バス・トイレ、照明など、各種メーカー選定はどのように行いましたか?

予算が厳しいことから、私に任せてくださいました。

Q.この資材を使って欲しいなど特殊な要望はありましたか?

特にありませんでした。

Q.施主さんがこの物件の実施設計で一番重要視したこだわりはどこですか?

「少ない予算だけど、どこにでもある住宅は嫌」とおっしゃっていました。

Q.工事に際し、ご近所トラブルなどはありませんでしたか?

特にありませんでした。

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4.工事から完成まで

Q.工事〜完成までどのくらいの期間を要しましたか?

5ヶ月程度です。

Q.工事に入った後に施主さんから追加の要望はありましたか?また、それは実施されましたか?

特にありませんでした。完成後の引き渡しの時に、テレビではカットされましたが、「この家が理想でした」と泣いていらっしゃいました。

Q.この物件の工事時に一番大変だった所はどこですか?

テレビで紹介されましたが、木造なのにカーブした壁を造るところは苦労したと思います。

5.完成から入居後について

Q.初期不良の相談はありましたか?

特にありませんでした。

Q.何年かしてから経年劣化が現れた所はありましたか?

強いて言えば、狭小住宅なので、お子さんが増えて子供部屋の確保に苦労したと思います。

Q.施主さんと完成後に個人的に会ったりなど関係性は続いてますか?

続いています。

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敷地には狭小地や変形地、傾斜地など様々な制約があります。しかし、ポジィティブに考えると、人間の性格が一人ひとり違うように、それは敷地の個性ではないでしょうか。 私達は敷地の個性を生かした計画を心がけます。どんな敷地でも「ここに決めてよかった」と思ってもらいたいのです。 住宅とは、家族が長い時間を過ごし、そこで成長してゆく器です。従って、豊かな生活を営むことができなければ本来の意味をなさなくなります。住宅の完成がデザインの終わりではなく、むしろ始まりであり、完成後は私達の手を離れて家族と共に成長し、家族がデザインしていく器であって欲しいと願っています。 設計とは要望された部屋を並べることではありません。その人、その家族、その子ども達にどのような暮らし方が相応しいのか、プラスアルファやサプライズなどの予想もしなかった生活を豊かに彩る空間の提案をすることなのです。また、家族は成長していきます。小さな子どもと高校生とでは空間の使い方が違うのです。将来を見据えた計画も重要なことのひとつです。 建築家との家づくりは、どこか面倒くさいと思われがちですが、住宅は人生の中でも一生に一度の高価な買い物であり、家族の一大イベントでもあります。皆さん自分の個性やオリジナリティを表現するために設計段階を非常に楽しんでいます。是非一緒に楽しい「暮らし方」を考えましょう。